パスウェイやネットワークの持つ情報の制約

前に、「上流解析には、パスウェイ解析やネットワーク解析を用いる」と述べましたが、どんなパスウェイやネットワーク図であっても、上流解析ができるわけではありません。パスウェイやネットワークの図に含まれる情報には制約があります。「図の中に含まれる遺伝子、を制御している可能性のある遺伝子X」が載っていないのであれば、上流解析はできません。

例えば、KEGGに代表されるような代謝経路の図(マップ)は、代謝される物質と、それを触媒する酵素についてまとめられたマップです。そのため、ほとんどの場合、それらの酵素を制御する遺伝子についての言及はありません。

代謝経路に描かれる情報の範囲。
代謝経路に描かれる情報の範囲。

同様に、TGF-beta のパスウェイなど、既知のシグナル伝達系についてまとめられたパスウェイ(カノニカルパスウェイなどと呼ばれます)についても同様です。多くの場合、「シグナルの流れ」に注目してまとめられているため、「シグナル伝達を行う遺伝子、を制御する遺伝子」は、載っていません。

シグナル伝達系のパスウェイに描かれる情報の範囲。
シグナル伝達系のパスウェイに描かれる情報の範囲。

では、どうやって、Xを探せばよいのでしょうか?

続きます。

 

投稿者:

Atsushi Doi

株式会社セルイノベーター 取締役、研究開発部部長。理学博士。山口大学大学院理工学研究科修了。東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの特任助手を経て、株式会社GNIに主任研究員として勤務。その後、株式会社セルイノベーターの立ち上げに参加し、現在に至る。専門は、バイオインフォマティクス、おもにシステムバイオロジー。

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