MeV の使い方 3. t-検定

Agilent のマイクロアレイデータを想定して、 MeV の操作方法を紹介します。

  1. MeV の起動とファイルの読み込み
  2. 階層的クラスタリング
  3. t-検定

3. t-検定

t-検定により、WT vs KO で差のある遺伝子を求める。

(1) 検定方法の選択

  • “Statistics” ボタンから “t Tests” を選択。
検定方法の選択

(2)  t-検定のパラメーター

検定を行った上で、有意な差を持つ遺伝子群のクラスタリング図を作成。

  • 1) “Between subjects” タブを選択。
  • 2) “Cluster Selection” タブを選択。
  • 3) 2つのグループに割り当てる。
  • 4) “Hierarchical Clustering” タブを選択。”Construct Hierarchical Trees for:” にチェックを入れる。
t-検定のパラメーター

続きます。

 

 

エクセルのフィルタを使ってデータ抽出

エクセルのフィルタを使ってデータ抽出する方法です(エクセル2007の場合)。

例)解析結果のエクセルファイルから、| Zscore | >= 2 のデータを抽出したい

1. [データ] をクリック。

2. [ フィルタ ] をクリック。

3. Zscore のセルの矢印をクリック。

4. [ 数値フィルタ ]  → [ 指定の範囲内 ] を選択。

5. 抽出したい条件を選択。

6. 指定した条件のデータが抽出できました。ステータスバーには抽出した件数が表示されます。

7. 前回紹介した「データの並べ替え」で、見たい順に並べ替えることができます。

8. フィルタを解除する場合は [ フィルタ ] をクリック。データは元に戻ります。

 

簡単!Linuxコマンドでマイクロアレイ解析結果を自由自在2

今回も、引き続き、マイクロアレイ解析結果をLinuxコマンドを用いて簡単に操作する方法を紹介していきたいと思います。今回は、解析結果ファイルの内容操作から少し脱線しますが、使用頻度の高いファイルの検索について紹介させて頂こうと思います。

コマンド操作で作業を行う際、一番困るのはファイルの場所がわかりづらい点と聞くことがあります。Windows等ではエクスプローラーを使って目で確認しながらファイル操作できますが、コマンド操作では慣れが必要です。しかし、慣れるとより速く・より便利に使えるので試してみる価値があると思います。

今回は、簡単で便利なファイル検索を紹介します。

find
ファイルを検索します。
検索対象となるディレクトリを指定して、ファイルを検索します。その時、名前や種類を指定できます。拡張子名が「txt」や、ファイル名が「my_」で始まる等を指定できます。

使い方1(拡張子がtxtであるファイルを検索)
find ~/work -name “*.txt”

使い方2(ファイル名がmy_で始まるファイルを検索)
find . -name “my_*”

grep
指定されたファイルや結果データ内をキーワード検索します。
とても有名なコマンドなので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、指定データに対して指定したキーワードに合致(含む等)する行を取得します。

使い方1(指定ファイル中から、mouseというキーワードを含む行を取得)
grep “mouse” data.txt

使い方2(コマンドの結果に対して、mouseを含む行を取得して、行数をカウント)
cat data.txt | grep “mouse” | wc -l

そして、上記の2つのコマンドを併せて使うと、「○○.datというファイルの中に、mouseというキーワードが入っているファイルはどれだったかな?」というような検索ができます。xargsは、findの結果ファイルを1つずつgrepに渡します。

使い方(findで*.txtで絞り込んで、mouseというキーワードを含む行を表示)
find ~/mydir -name “*.txt” | xargs grep “mouse” | less

サンプル>

$ ls mydir
-rw-------+ 1 Administrators None 33 Nov 30 18:30 test1.dat
-rw-------+ 1 Administrators None 33 Nov 30 18:28 test1.txt
-rw-------+ 1 Administrators None 25 Nov 30 18:31 test2.dat
-rw-------+ 1 Administrators None 25 Nov 30 18:30 test2.txt
$ find ~/work -name "*.txt" | xargs grep "mouse" | less
~/mydir/test1.txt:mouse 1
~/mydir/test1.txt:mouse 2

結果
拡張子がtxtであるファイルについて、mouseに該当する行だけが抽出できました。

 

MeV の使い方 2. 階層的クラスタリング

Agilent のマイクロアレイデータを想定して、 MeV の操作方法を紹介します。

  1. MeV の起動とファイルの読み込み
  2. 階層的クラスタリング
  3. t-検定

2. 階層的クラスタリング

(1) クラスタリングの方向

ヒートマップのクラスタリングには、比較する方向によって、サンプル(横方向) と、遺伝子(縦方向)の2種類に分けられます。どちらの方向でクラスタリングを行うかは、見たいものによって異なります。似ているサンプルを知りたいときは、サンプル方向でクラスタリングを行います。(がん細胞と正常細胞のデータを比較する場合など。)また、発現パターンの似ている遺伝子を知りたい場合は、遺伝子方向でクラスタリングを行います。(特定の遺伝子に興味があり、その遺伝子と発現パターンの似ている遺伝子を探す場合。)

場合によっては、サンプル、遺伝子の両方向で行うこともあるかもしれません。ただ、サンプルが時系列に並んだタイムコースのデータの場合は、サンプル方向のクラスタリングは行わない方が、発現パターンが分かりやすいと思います。

クラスタリングの方向

(2) 階層的クラスタリング

MeV で階層的クラスタリングを行う方法です。

  • “Clustering” ボタンから “Hierarchical Clustering” を選択。
  • クラスタリングの各オプションは変更しなくてもよい。
階層的クラスタリング

例:クラスタリング結果

  • 左側の “Analysis Results” にクラスタリング結果が作成される。
  • ツリーの計算と結果の色づけ (赤、緑)は、独立した作業。
  • 1色で表示されているのは、log2 変換前のスケールで色づけされているため。(スケールの設定が合っていない。)
例:クラスタリング結果

(3) クラスタリング図の色づけ

クラスタリング図を適切な表示にするには、「色づけ」の作業が必要です。論文などではシグナル値の低い遺伝子を緑色、中間の遺伝子を黒色、高い遺伝子を赤色に色付けされることが多いです。しかしながら、シグナル値がどれくらい低ければ、緑色、どれくらい高ければ赤色という決まりはありません。よって、作者が色付けを定義しなければなりません。MeV では、下記の操作で色づけを定義できます。

  • 1) “Display -> Set Color Scale Limits” を選択。
  • 2) 色付けする Lower Limit, Midpoint Value, Upper Limit を入力

追記:Color Scale Limits ウィンドウ内の Color Range Selection には、 ()内に参考までの値が表示されています。Lower Limit に「最小値」、Midoint Value に「中央値」、Upper Limit に「最大値」が表示されますが、右側のボックスへの入力自体は、ユーザーが行わなければなりません。

クラスタリング図の色づけ

例: 色づけを変更した後のクラスタリング図

色づけを変更した後のクラスタリング図

(4) クラスタリング図の出力

作成したクラスタリング図は、画像ファイルとして出力できます。

  • 1) “File -> Save Image” を選択
  • 2) ファイル名を入力。 (.pngを付ける)
  • 3) 保存形式は、PNG を推奨。
クラスタリング図の出力
 

エクセルでデータの並べ替え

エクセルファイルでデータを並べ替える方法です (エクセル2007の場合)。

例)解析結果のエクセルファイルで Zscore の降順に並んでいるのを GeneSymbol の昇順に並び替えたい

1. [ データ ] をクリック。

2. [ 並べ替え ] をクリック。

3. ダイアログで並べ替えの条件を指定します。

 

4. データは GeneSymbol の昇順に並び替えられました。