cBioPortal 経由で TCGA のデータを閲覧 (3)

cBioPortal を利用して、特定のがん(データセット、CancerStudy)における、特定の遺伝子群の発現変動を閲覧する方法を紹介します。この操作により、自分のマイクロアレイデータで発現変動していた遺伝子が、TCGAのデータではどう変動しているかチェックすることができます。

cBioPortal のホームには、データセットを選択するための、クエリーを入力する欄があります。ここから、

  1. データセット(がんの種類)
  2. データ形式(変異、コピー数、マイクロアレイ、miRNA、RNASeq )
  3. 見たい遺伝子群(遺伝子の名前)

を選択します。

1. クエリーから、データセットを選択

まず、データセット(がんの種類、 CancerStudy)を選択します。例では、 Lung Adenocarcinoma (TCGA, Nature, in press)を選択しています。

データセットを選択。
データセットを選択。

2. データ形式を選択

データ形式(変異、コピー数、マイクロアレイ、miRNA、RNASeq )を選択します。選んだデータセットによって、利用可能なデータ形式のみ表示されます。すべてのデータ形式があるとは限りません。例では、mRNA =マイクロアレイのデータを選択しています。

(また、必要に応じて、データセットに含まれるサンプルのうち、特定の患者のものだけを選択することも可能。)

データ形式を選択。
データ形式を選択。

3. 見たい遺伝子群の入力

データセットのうち、特定の遺伝子(群)を指定して閲覧できます。ボックスの中に、見たい遺伝子の Official Symbol 公式な遺伝子名)を入力します。あらかじめ、いくつかの有名な遺伝子については、リストが用意されているので、プルダウンメニューから選択してもよいでしょう。例では、Cell Cycle を選択しています。

遺伝子群を入力または選択する。
遺伝子群を入力または選択する。

入力された遺伝子名が見つからない場合は、その旨が表示されます。昔の名前や通称の場合は、NCBIなどで、公式な遺伝子名を確認してください。

入力後に、 Submit をクリックします。

Submit
Submit

4. 結果の表示(OncoPrint)

データを Submit すると、しばらくして、 OncoPrint という画面が表示されます。例では、マイクロアレイデータを選択したので、遺伝子ごとに、その遺伝子の発現が増加している(または減少している)サンプルがハイライトされて表示されます。ここでは、遺伝子発現の増加減少Z-score によって判定されています。ヘルプによると、 Z-score を算出するときのコントロールは、全がんサンプルの場合と、健常者のデータの場合があるようです。どちらが使われているか、個々のデータセットを確認してください。

OncoPrint による遺伝子発現の増減を表示。
OncoPrint による遺伝子発現の増減を表示。
 

投稿者:

Atsushi Doi

株式会社セルイノベーター、主任研究員。理学博士。山口大学大学院理工学研究科修了。東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの特任助手を経て、株式会社GNIに主任研究員として勤務。その後、株式会社セルイノベーターの立ち上げに参加し、現在に至る。専門は、バイオインフォマティクス、おもにシステムバイオロジー。

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