前回記事の補足として、マイクロアレイ解析の結果について、論文で記述する際の注意点を解説します。
「マイクロアレイ解析の結果、」に続く文章として、適切なものはどれでしょうか?
- A: 脂質代謝が活性化されていた。
- B: 脂質代謝系の遺伝子が活性化された。
- C: 脂質代謝系の遺伝子発現が増加した。
- D: 脂質代謝系のいくつかの遺伝子の発現増加が見られた。
まず、 A はよくありません。レビューワーにスペキュレーションと見なされるかもしれません。理由は前回記事にあります。おそらく、「マイクロアレイ以外の他の実験結果を示せ」という注文がつくでしょう。
次に、B もよくありません。間違いではないかもしれませんが、「もう少し詳しく」と指摘されそうです。「脂質代謝系の遺伝子が活性化された可能性がある」ならよいでしょう。
C は問題ありません。無難な表現です。厳密には、脂質代謝系の遺伝子すべてが増加したわけではないでしょうから、後述の D がより無難な表現です。
D は事実のみを伝えているので、全く問題ありません。この事実をどう判断したのかは、著者の意見と明記して、追記しておけばよいでしょう。
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