パスウェイとは?

マイクロアレイデータの解析には、アノテーションの情報のほかに、「パスウェイ」または「パスウェイデータベース」がよく用いられます。

パスウェイ (Pathway)

直訳すると「経路」ということになりますが、その名の通り、遺伝子やタンパク質の相互作用を経路図として表したのがパスウェイです。もともとは、代謝経路を中心に、パスウェイと呼ばれることが多かったように思いますが、現在では、シグナル伝達系や、Protein-Protein Interaction (PPI: タンパク間相互作用)、遺伝子の制御関係の情報も含めて、パスウェイの絵(マップ)として扱われています。

遺伝子やタンパク質を丸や四角などのシンボルで表し、制御関係を意味する矢印で結ぶことで、パスウェイは表現されます。(数学的には1部有向グラフとなることが基本なようです。)ただし、制御関係には、「酵素反応」、「活性化」、「抑制」、「転写を活性化」、「リン酸化」、「結合」など、非常に多くの生物学的な意味が込められています。

例えば、Aというタンパク質が、ECx.x.x.x という酵素によって、Bというタンパク質に代謝されるという経路があると、 A —> ECx.x.x.x –> B のように図示できると思います。このような関係を複数まとめるた絵が、パスウェイ(マップ)となります。

具体的な例は、下記のようなイメージです。

KEGGより。代謝経路のパスウェイの1つ。 http://www.genome.jp/kegg/pathway/map/map00010.html
KEGGより。シグナル伝達系のパスウェイの例。 http://www.genome.jp/kegg/pathway/hsa/hsa04010.html
 

投稿者:

Atsushi Doi

株式会社セルイノベーター、主任研究員。理学博士。山口大学大学院理工学研究科修了。東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの特任助手を経て、株式会社GNIに主任研究員として勤務。その後、株式会社セルイノベーターの立ち上げに参加し、現在に至る。専門は、バイオインフォマティクス、おもにシステムバイオロジー。

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